農家からの質問(2002/6/10)
「米収穫したときの、記帳の仕方おしえて!」
農家からの質問を普及員が受けて、それを私が受ける事例も多いのですが、その中で「大規模稲作農家の米を収穫したときの仕訳について教えてください。」というのがありました。
米麦等の農作物については、収益認識基準として、生産基準(収穫基準)が適用されます。
主要農産物の価格に大きな差が生じている現在、いまさら収穫基準でもなかろうとは思うにですが、法律は法律です。
それでは、収穫した米の価額を幾らにするかということですが、これが大変難しく、幾らで売れるという補償もないし、まあ農協出荷価額を基本にするより仕方がないかと思われます。
出荷価額さえわかれば、仕訳は実に簡単です。
事例 仮に農協出荷予定価額が200円/sとします。
その年に、米を100kg収穫しました。このときの仕訳は次のとおりです。
借方 貸方
米収穫物仕入 20,000 米収穫収益 20,000
このように、収穫したときに収穫物収益の発生と同時に、収穫物の仕入れという費用が発生しますので、ここで同時仕訳をします。
年度末になったら、棚卸を行い、収穫物価額を基に在庫価額を算出します。
この場合、仕訳を忠実に行っていくと、収益収入金額が収穫時と販売時の2回、費用支出金額が収穫時と肥料等支出時に2回計上されるといった問題が生じますが、結果として算出される所得は同じです。
このことは、直接説明するとわかりやすいのですが、文章で説明すると難しいですね。
要は、一般の商品と違うのは、期首期末在庫価額を取得価額ベースでいくか、それとも収穫物価額ベースでいくかの違いだけです。
上記簿記から算出される費用収益とは別に、実務上の計算は、次のようになります。
(収益収入の金額)
A = 販売価額***円 + 期末在庫価額***(収穫物価額ベース) − 期首在庫価額***円(収穫物価額ベース)
(必要経費)
B = 生産経費***円 + 販売経費***円
(所得金額の計算)
C = A − B
在庫計算は、必要経費の中で行うものだという誰もが考えるわけですが、こうなのですから仕方ありません。もちろん、必要経費の中で計算しても所得は同じですから、税務署は何にも文句は言いません。
この説明を読んで頭が痛くなった方は、電話でご相談ください。